様々な痛みへの対症療法としてツボの指圧をご存知の方も多いと思います。
坐骨神経痛も同様で、坐骨神経痛を発症した時に症状を改善すると言われているツボがあります。
1. 坐骨神経痛で押すと良いツボとは?
坐骨神経痛やそれに関連する症状を改善すると言われているツボとして代表的なものは以下の通りです。
胞肓(ほうこう)
おしりの骨(仙骨)の中央から指幅4本程度外側の位置にあるツボです。
コリのある部分を押すと、脚の血行が改善されると言われています。
臀中(でんちゅう)
おしりの骨(仙骨)の中央から外側に5-10cmほどのところにあるおしりの中心部分にあるツボです。
このツボを押すと、梨状筋が固くなると坐骨神経痛の原因となるため、この筋肉も押すことでほぐします。
殷門(いんもん)
膝の裏の中央部分と坐骨とのちょうど中間にあるツボです。
太ももの裏の筋肉、神経を刺激できます。
委中(いちゅう)
膝のちょうど真裏にあるツボです。
坐骨神経から分かれた神経を刺激することができます。
環跳(かんちょう)
股関節の付け根から外側にたどっていき、骨が出っ張っている部分(大転子と言います)から指4本分程度おしりの中心部分に移動したところにあるツボです。
梨状筋を刺激することができます。
2. 坐骨神経痛のツボ、その有効性は?
坐骨神経痛に効く5か所のツボを紹介しましたが、これらのツボを指圧すると、坐骨神経痛はどのくらい改善するのでしょうか?
実は、ツボを押すことで痛みやしびれが改善するという効果に一定の見解は得られていません。過去に研究された論文を見ても、「どの部分を押したら、どのように改善した」と明確に示されたものがないのです。
もちろん、マッサージやその他の手技に関しては、論文も見られますが、その多くが「効果があるかは不明である」または「効果があるかもしれない」といったものになります。
しかし、実際指圧をされると痛みが緩和すると感じる人も多いでしょう。これは少なくとも指圧にはリラックス効果があるからと考えられています。
指圧と同様に身近な鍼治療に関しては、どのようなことが言われているのでしょうか?
以下に簡単に解説します。
3. 坐骨神経痛への鍼治療について
鍼治療は、鍼による刺激で筋肉や神経、血流を改善させ、体の働きを良くする効果があると言われています。
筋肉が硬くなると神経などを圧迫してしまうのですが、鍼によって筋肉の硬さが和らぐと、坐骨神経痛も改善するという仕組みです。
また、交感神経などの自律神経系にも良い影響を与え、全身状態も整える可能性があります。
鍼治療には電気鍼もあり、坐骨神経痛の治療ではしばしば行われます。
ただし、鍼治療もツボの指圧と同様、「確定的な根拠がある」というわけではありません。坐骨神経痛の鍼治療はこれまで多くの患者さんに行われてきていますが、実は海外でもその根拠は低いのではないかという問題が取り上げられてきています。
ツボ指圧や鍼治療は明確に効果があるのかないのか示されているわけではありませんが、身近で治療を行えるというメリットがあります。ツボ指圧や鍼治療を受けるとリラックスできる等の良い実感がある場合は、もちろん続けると良いでしょう。